STORY

​「どうして助けたりなんか」

「お前だけだ、俺と同じだけの話ができるのは」

​　スネイルは、狭いコックピットの中でフロイトに抱えられながらそう問いかけた。フロイトは相変わらず片腕でロックスミスを操作しており、スネイルはそれをぼんやりと眺める。

「いつもは言わないが、今日は言う。そうじゃないとお前が納得しないからな」

　フロイトは追手がけしかけるミサイルを回避した。ぐっとGが高まり、スネイルは思わずうめき声をあげる。ACに接続されていれば衝撃をシステムが緩和してくれるから、Gをそのまま受けるのは久々だと思うと同時に、無強化でこのGに顔色一つ変えないフロイトに改めて唇を噛んだ。

（この男と私の何が違う）

「しょうもないことを考えているだろう、スネイル。そういうのやめよう。俺と同じだけのACにまつわる話ができるのはお前だけだし、俺に食らいつくのをあきらめなかったのもお前だけだ。だから俺はお前を助けたし、――これからずっと一緒に生きていこうと考えている」

「は……」

​　それはなんともプロポーズ的だった。それを問いかける前に、フロイトがレーザーブレードを一閃したため、スネイルは問いかける機会を失ってしまった。